原作を読ませて頂いて、信じるという事について深く考えました。
自分の考えとは違うと思っていても、
大切な人の考えを信じてみようと思ったり・・・・
正しいか間違っているかの判断だけでなく、
人はその人と、その周りをとりまく環境や
人の想いによって見え方が変わってしまったり・・・・
誰かを、何かを、たとえそれが自分の大切な人でも
迷わず信じ続けることはとても難しい。そう感じました。
私が演じさせて頂くちひろは、少しずつ自分の環境に違和感を感じつつも、
悩みながら素直に物事をうけとめて
真っ直ぐに生きている女の子だと思います。
これからちひろをどんな風に演じていくか、
そしてこの映画の中で〝信じる″という事は何なのか?
ちひろと共に探していきたいと思います。

信じる事の“純粋さ”と、ある意味“狂気”を家族と言うかけがえのないものの中でどう表現していくのか?
大森立嗣監督の真っ向からのチャレンジを芦田愛菜さん、原田知世さん方と共に、旅出来た事はとても光栄でした。

そこに存在しているだけで愛しさが湧いてくる芦田さん、物語の中の同じ時を過ごして来たその想いを、自然に醸し出してリードして頂いた原田さん、そして再び大森監督の現場に立たせていただいた事、、、
この作品に関わった全ての皆さんに感謝しています。

“何かを心から信じる”事への“あるひとつの家族”の愛と葛藤の物語を、是非劇場でご覧いただければと思います。

「未熟児だって、、、ただただ健康に」
映画の冒頭で、日記に書き綴られた母の祈り。
そんな母の切実な思いを胸に演じました。
赤ちゃんのちひろ、小学生のちひろ、そして、中学生になったちひろ。成長していく娘との一つ一つのシーンを演じていく中で、愛おしさが溢れ、同じ思いで娘を見つめる父、永瀬正敏さんの穏やかな温もりに支えられながら、ラストシーンを迎えることが出来ました。
この作品に参加できたことをとてもしあわせに思います。

『星の子』という小説を読んで思ったのは、
自分のことを置いといてでも人を思う気持ちです。
敏感で多感な14歳の少女は風に揺れながら、
飛んでいってしまいそうな小さな体で立っています。
それでも自分のことのように人を思うのです。
これなんだろう? と思ったら、優しさでした。
この映画が清涼な一陣の風のように、
皆様を優しさで包み込むようになればと思っています。

この小説を書いた後、私の信仰の有無について訊かれる機会が何度かありました。信仰に限ったことではありませんが、私は「信じる者」でも、「信じない者」でもありません。「信じたいのに、信じることができない者」であり、「信じていたことが、だんだん信じられなくなってくる者」です。信じる、信じない、の狭間にあるこの物語を、映画という形で味わえること、とても楽しみにしています。私が掴み損ねたかもしれない、ちひろの心の深部に映像を通じて触れられるのではないかと今から期待しています。